久しぶりにコンサートのご案内です。最近はチェロと共演する機会が多く、私の中では密かなブームとなっています。アルト・ノラスのアルバムを寝る前に聴く事もしばしば。静かな夜更けはチャイコフスキーの白鳥に始まり、最後はシューベルトのアルペッジョソナタへ。懐の深い音色といい、発音の自然さといい、他のどの楽器でも味わう事が出来ない満足感がチェロにはある。
さて、今回初共演となるワンジミンさんは中国の大連に生まれ、牧師の家庭に育ったという。兄にチェロを習い故郷の音楽院を卒業後はウィーン、カルフォルニア、東京と渡り歩いたそうです。勝手な想像かもしれませんが、彼の音色が持つ敬虔で朴訥な響き、あるいは高貴さにはどこか血統のような脈絡を感じます。ワンさんの演奏は決して派手ではなく、情熱的に聴き手に迫ることもあまりありませんが、聴いているうちにその大陸的ともいうべき大きな器に包みこまれ、いつのまにか音楽に浸ってしまう。そんなタイプの演奏家だろうと思います。現在の活動は主に北九州方面が多いのですが、今回は福岡のあいれふホールで意欲的なプログラムに挑みます。5月2日(火)19時開演