今年アクロス福岡に登場するビックピアニストの中で、かなり気になっている人がいます。ペーター・レーゼル。ドレスデン出身でモスクワへ留学した頃にはバシキロフとオボーリンに師事したという東側のピアニストです。昔録音で聴いた印象は薄く「ベートーヴェンをはじめドイツ系のレパートリーを網羅し、ラフマニノフなども鉄のようなタッチで弾き倒す巨人」。そんなイメージを持ってからはあまり聴いてこなかったのです。ドイツ人としては稀な輝かしいキャリアを歩んだ後、ドレスデン音大で教えているという噂でした。コンサート歴と膨大な録音からして歴史に名を刻むピアニストであることは間違いありません。そんなレーゼルを今、アクロス福岡のアフタヌーンコンサートで聴けるのですから行かねばなりません。しかも、プログラムがいいのです。シューマンのフモレスケとシューベルトのピアノソナタD.959。シューベルトはまさにこれから取り組みたいと思ってる曲です。僕が初めてレーゼルの録音に接したのはもう随分前ですから、今なら違った感想を持つでしょう。もちろん、今は円熟極まった白髪のピアニスト。過去にバリバリならした巨人がどんなシューベルトを聴かせてくれるのだろう。
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