面白い本に出会ったのでご紹介します。何て言ったらいいのか、ジャンルとしてはミステリー小説なのだけど、それだけじゃなくて優れた音楽評論のエッセンスも含んでいる一冊です。「シューマンの指」なだけに、シューマン論が登場人物を通して語られています。登場人物に音楽論を展開させるという点では、シューマンが試みた執筆活動を連想させます。物語りの後半からは殺人事件が勃発。僕としては登場人物の会話から出てくるシューマン論に頷きながらゆっくり読み進めていく予定だったのですが、気が付けばミステリーの世界にぐいぐい引き込まれ、一気に読破していました。シューマンの音楽は文学そのもの。その面白さを活かしたこれまでにない小説だと思います。音楽愛好家、ミステリー好き、シューマンマニア、色んな人にお勧め。2011年本屋大賞ノミネートらしいので、とっくに話題になった本なのでしょうけど。
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