朝日新聞の朝刊にこの見出しの記事が掲載されていました。二日前の土曜日、あるレストランで、後ろのお客さんの会話から「クライバーン」「末期癌」「辻井」といったキーワードを聞いていました。その時は、クラシック音楽の会話なんて珍しいな、くらいに聞き流していたのですが、朝刊をみてハッとしました。吉田秀和氏が亡くなった際もそうでしたが、一時代を築いた人が永遠になる瞬間というのは特別な思いがします。ロシアの権威「チャイコフスキーピアノコンクール」で名を覇せ、アメリカンドリームを掴んだクライバーン。終演後のステージに花束を持って詰めかける大勢の若い女性達の姿は、クラシックにおけるエンターテイメント新時代の象徴でした。クライバーンの場合、引退が早かったせいで「巨匠」にはなり得ず、「英雄」として一瞬を駆け抜けたのです。日本では辻井伸之さんのヴァン・クライバーンコンクール優勝時のドキュメンタリーなどで、生前の姿をご覧になった方も多かったのではないでしょうか。新聞記事によると、クライバーン氏は辻井氏に「クラシックに関心の無い人をコンサートに集められるような魅力のある人になって」との言葉を贈っていたそうです。実にクライヴァーンらしいです。クラシックファンの高齢化は進んでいます。僕もまさに言葉通りの期待を寄せています。
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