ドイツ歌曲の伴奏の機会があって、シューベルトの「ます」を和訳してみました。ストーリーは単純なので、要約すると「澄んだ小川にますが泳いでいた。釣り人が来たが水が澄んでいるせいで上手くいかない。釣り人は悪知恵を働かせ、水を濁らせてますを釣った。見ていた私は嫌な気分になった。」というもので、なにげない日常の一コマのような詩です。歌手の方に教えてもらって初めて知ったのですが、この話には付け加えがあって、釣り人とますを男女のやりとりに例え、女の子はこの詩の「ます」にならないように気をつけてね、という教訓の意味があるそうです。さすがドイツ文学、ちょっとした事でも深いなあと感心してしました。ピアノの伴奏音形は、ますが矢のように水中を行き来している様を描写しているようです。シューベルトのピアノ五重奏にも同じメロディーが使われています。シンプルで覚えやすいのでクラシック名曲選などによく入っていますね。それにしてもシューベルトのメロディーは、口ずさんだら自然に湧いてきたように、ごく自然でさりげないなと思います。全く美しい。他に「魔王」もやろうかという話になっているのですが、例の右手が吊りそうになるのが嫌で、まだ手をつけていません。
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