ウィンナーワルツを聴いて

まずはじめにリズムありき、とはよく言われる事で、時間芸術である音楽において、リズム感は大前提になります。日本人と西洋人のリズム感は、言葉や音楽はもちろん、歩き方を見ても違うと気がつきます。日本人がスタスタと地表を彷徨い足跡を落としていくように歩くなら、西洋人はスタンスタンと一定に、意志を伴った足跡を刻んでいるというか。そもそも根本的なリズム感が違うのだとしたら、日本人が西洋音楽を理解して表現するには、体内に脈打つ律動をいかに作品のそれと重ね合わせる事が出来るかが、最大の山かもしれません。

 

先日友人に誘われて聴きに行ったのは、ウィーンフィル、ウィーン歌劇場のメンバーを中心とした室内楽オーケストラでした。生粋のウィーンっ子らが弾くヨハン・シュトラウスなどのワルツやポルカは、やはり独特のリズム感が色濃く、一瞬でウィーン的だと感じました。アンコールなどはノリノリで「これがウィーンだよー」と言わんばかりの快演でみんな実に楽しそう。これが優秀な多国籍オーケストラだと、素晴らしくも、似て否なるものになるのかな。自分がもし団員に混じって、ヴァイオリンでも弾いてたとしたら、間違いなく周りの波長を乱してしまうでしょうね。このリズムは数あるクラシックの中でも、かなり縁遠い部類に属すると思われます。普段ピアノを練習していても味わえない音楽が聴けて、ちょっと華やかな気分で帰路につきました。