日田へ行こう

福岡市は、九州の中心都市なのにホール事情が悪いことで有名で、音楽家、クラシックファンにとっては音響のよい専門ホールの設置が長年熱望されているようです。気候も良くなってきたので、ドライブがてら、大分県日田市の「パトリア日田」のホールとピアノの視察に行くことに。小さな田舎町の日田ですが、水と空気がきれいで、日本酒、うなぎ、豆田の街並など趣き深く、ふらっと日帰りで休日を過ごすのによい所です。桜の開花は福岡より少し遅れているようで、三隅川沿いの亀山公園では4分咲きくらい。それでも、なだらかで川幅の広い土手から眺める桜色は、青空にふんわりとやさしさを添えて春の到来を告げてくれます。

 

太宰府ICから50分程なので、日田のコンサートにも福岡からのアクセスが増えているとか。会場は、大、小ホール、複数のスタジオを備え、なんとびっくりスタインウェイD型2台+ヤマハCF3でフルコンサートピアノは3台常備してあります。人口僅か数万人規模の市営ホールが、立派なものです。今回はヤマハが使用中でスタインウェイを2台試弾させてもらいました。現在主にコンサートで使用されている一台は、アクションがまだ硬く、音色の幅、音量とも未開発といった感じです。大ホールの響きは反響板を立てた状態で概ね良好。もう一台はピアノ庫のなかで響きはさっぱり分かりませでしたが、弾き心地はよほど馴染んでいて、調律次第では本番でも十分力を発揮すべくスタンバイしているようでした。案内して下さった係の方が懇切丁寧に、保険か不動産の営業マンかと思うほどのサービス精神でご対応。ついでに観光案内までして下さり、最後は見えなくなるまで45度のお辞儀。市営施設でそんなことされたらこっちが恐縮してしまいます。おかげさまで、日田のイメージは豊かな自然、情緒ある街、立派なピアノ、明るいサービスの公務員というふうに確実にアップしたのでした。写真は帰りに見かけた看板です。何年前かな、レトロすぎる。