NHKのBSで、天海祐希が行く新オルセー美術館がありました。展示室の壁紙をどの色にするか。ルノアールの部屋にはグレーかダークグリーンのような色が採用されたのですが、さすが美術の都パリを代表するオルセーだけあって、その色は念入りに吟味されたようです。ルノアールの作品に多く使われている淡いピンク、黄色、ブルーなどを最も際立たせる色を50色作り、その中から一年がかりで一つの配合を決定したそうです。さらに照明にも徹底していて、使用される照明器具、自然光の割合を左右する天井のガラスも綿密に計算され採用したとのこと。その色彩に対するこだわりはさすがフランス人だと思いました。インタビューで話す白髪の色彩研究家も、バッチリ似合った微妙な赤のセーターを着ています。
もちろん、これは世界中から観光客が集まるパリのオルセーだからできることかもしれませんが、物事を引き立たせ合う配置の工夫というのは、生活するためのシンプルで経済的な知恵です。絵画を観ると、物の配置や色のコントラストなど、画家の表現からデザインする技を学ぶ事ができます。音楽も似たような物で、作曲家はあれこれと音という素材をデザインしているわけです。また、よい美術館や音楽ホールというのは、それらを鑑賞するために適した設計がなされています。こだわろうと思ったらきりのない世界ですが、世の中のあらゆる事象はデザインする事で更に快適かつ美的に洗練されるに違いありません。料理の盛りつけ、部屋のインテリア、都市設計、人事、人間関係に至まで。そう考えると芸術は生活するアイディアの源のようですね。日本でも、あらゆる職業に携わる人が芸術家に習ってデザインする感覚を持てば、世の中けっこうよくなる気がします。
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梶原ゆみ子 (火曜日, 28 2月 2012 21:51)
こんにちは。
今日は、「桜の詩」と「草原の風」を、何回も聴かせてもらっています。
そのうち、未希矢さんのCDが出たら、またご紹介くださいね。
楽しみにしています。