ノクターンはショパンの重要なレパートリーで、中でもop.9-2は日本でダントツの人気を誇る有名曲です。一つは、メロディーが覚えやすく弾くのも割と簡単というのが人気の理由かと思います。それともう一つ、この曲が持つメランコリーの性質が日本人の趣向に合っているようです。和声は冒頭でベースラインが下降し平行調に転じるポップな進行です。長調の場合、曲が始まるやガラッと陰が差してメランコリーを誘います。邦画でもやたらに泣かせにかかる脚色がよくあるし、映画館を出て「めっちゃ泣けた〜」という感想はやはり我々日本人ならではの表現かも。メランコリーは重要なエンターテイメントの要素となっているようです。個人的には次の作品op.9-3は初期のノクターンの中でキラリと光る個性を放っているし、op.62-1は後期のポリフォニー指向がショパンの詩的メロディーと融合した名曲だと思います。どうかこちらも聴いてみて下さいね。